賤機帯−3
隅田川の渡し場で狂乱している女を、舟の客が囃す。
「舟人これを見るよりも
よい慰みと 戯れの
気違いよ 気違いよと
手を打ちたたき 囃すにぞ」
「気違い」という言葉は、江戸時代の始めに生まれた言葉だそうで、
それまでの「物狂い」の新バージョンといった感覚だろう。
「気違い」は1670〜80年代頃まで使われていて、
その後「乱気」「乱心」という言葉も使われるようになったという。
「賤機帯」の原曲となった一中節の
「峰雲賤機帯」(おのえのくもしずはたおび)が初演されたのは
宝暦元年(1751)だから、「気違い」という言葉は元気にあったわけだ。
今では差別用語とされ、放送禁止なってしまったが、
1970年ころまではメディアでもおおらかに使われていた。
演奏会ではともかく、NHKの邦楽番組でも「賤機帯」はこの歌詞ゆえ、
長い間放送御法度だった。
今では、あえて録音する場合はこの部分の歌詞を換えて演奏される。
しかし、やはりニュアンスが違ってしまう嫌いはある。
〓 〓 〓
tea break・海中百景
photo by 和尚
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隅田川の渡し場で狂乱している女を、舟の客が囃す。
「舟人これを見るよりも
よい慰みと 戯れの
気違いよ 気違いよと
手を打ちたたき 囃すにぞ」
「気違い」という言葉は、江戸時代の始めに生まれた言葉だそうで、
それまでの「物狂い」の新バージョンといった感覚だろう。
「気違い」は1670〜80年代頃まで使われていて、
その後「乱気」「乱心」という言葉も使われるようになったという。
「賤機帯」の原曲となった一中節の
「峰雲賤機帯」(おのえのくもしずはたおび)が初演されたのは
宝暦元年(1751)だから、「気違い」という言葉は元気にあったわけだ。
今では差別用語とされ、放送禁止なってしまったが、
1970年ころまではメディアでもおおらかに使われていた。
演奏会ではともかく、NHKの邦楽番組でも「賤機帯」はこの歌詞ゆえ、
長い間放送御法度だった。
今では、あえて録音する場合はこの部分の歌詞を換えて演奏される。
しかし、やはりニュアンスが違ってしまう嫌いはある。
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tea break・海中百景
photo by 和尚
