Quantcast
Channel: 西園寺由利の長唄って何だ!
Viewing all articles
Browse latest Browse all 4821

長箱の三味線

$
0
0
鈴木春信という絵師は、同じアングルで時間の経過を描くという
面白いことが好きなようだ。

昨日の絵では、継ぎ棹の三味線を風呂敷に包んで持っていた「お母さん」が
この絵では長箱に入れた三味線を抱えている。

吉原に芸者なる商売が生まれるのは、
深川よりも半世紀ほど遅れた宝暦10(1760)年頃だ。

吉原芸者はこの絵のような、長箱に入れた三味線を箱屋という男衆に持たせた。
春信は吉原でこのような光景を目にして、
同じような構図で描いたのだろうか。
制作年代がはっきりしないので断言はできないが、
案外岡場所の親分的存在の深川辺りでは、長箱で堂々と持ち歩いたのかもしれない。
(三味線弾きの立場でいうと、行ってすぐ弾くには長箱に入れた三味線が便利なのだ)

深川(岡場所)の「踊子」はこの頃からいわゆる「芸者」になったのだろう。

  

この絵は2014年3月9日のブログにも載せていますが、
三味線を運んでいるのは茶屋の下女だろう、という見解は当然誤りです。

Viewing all articles
Browse latest Browse all 4821

Trending Articles