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Channel: 西園寺由利の長唄って何だ!
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長唄の歌詞考-2

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長唄の初期は女形の所作(舞踊)の地(伴奏)
としての役割だったわけだから、雄壮な「石橋」も
艶かしい「石橋」にアレンジされて伝えられてきたわけだ。

それを由々しき事と思う人物が90年後に現れ、能に忠実な「石橋」を作った。
それが杵屋六左衛門(10)だ。
当時はまだ三郎助(4)を名乗っていて、30歳位の学者肌。

名乗りから段切れまで能をほぼそっくりに写した。

例の部分もこのように戻した。

 『…あまりに山を遠く来て
 雲又跡を立ち隔て
 入りつる方も白波の
 谷の川音雨とのみ 聞こえて松の風もなし
 げに過って半日の客たりしも
 今身の上に知られつつ…』 

「妻木背負うて斧かたげ
 岩根烈しきそば伝い
 小笹を分けて歩み来る」

 〓 〓 〓

tea break・海中百景
photo by 和尚

長唄の歌詞考-3

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天保10年(1839)に杵屋六左衛門が作った「助六」。
これは河東節が忘れ去られようとした頃、六左衛門が長唄で再現したものだ。
作詞は桜田治助(3)。

「土手節やめよ 編み笠を
 取って投げるは曲がない
 蹴込んでみしょう 屋形船
 こりゃまた何のこった 江戸の花」

助六、実は曽我五郎は夜ごと吉原に出向いては喧嘩を売り
相手に刀を抜かそうとする。
それは父の仇を討つために紛失した源氏の宝刀
友切丸を捜しているからだ。

 〓 〓 〓

tea break・海中百景
photo by 和尚

長唄の歌詞考-4

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毎夜吉原で喧嘩ばかりしている息子をたしなめようと、
母親が編み笠を被って刀を差し、侍風に変装して揚巻と一緒に現れる。

助六が侍に喧嘩を売ろうと、顔を覗いてびっくり。
続いて兄も助六の真似をして覗き込み、びっくり!
母親は編み笠を取り、二人を説教する。

この場面が
「… 編み笠を
 取って投げるは曲がない」。

また、白酒売りに変装した兄が、助六を「もし、兄さん」と、
しつこく呼び止めた時に助六が言ったせりふ、
「大どぶへさらい込み、鼻の穴へ屋形船、蹴込むぞ、
こりゃまたなーんのこったぁ」 
この場面が、

「蹴込んでみしょう 屋形船
 こりゃまた何のこった 江戸の花」
となり、物語の筋を匂わせているわけだ。

 〓 〓 〓

tea break・海中百景
photo by 和尚

長唄の歌詞考-5

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「枕獅子」

「枕獅子」は菊之丞の4作目の獅子もの(石橋)にあたる。

2作目の「相生獅子」では獅子に入るときの歌詞がこれだ。

「牡丹に戯れ獅子の曲
 げに石橋の有様は
 笙歌の花降り 簫笛琴箜篌
 夕日の雲に聞こゆべき
 目前の奇特あらたなり」


能「石橋」ではこうなる。
「実にこの石橋の有様は
 其の面わずかにして 尺よりは狭う
 渡せる長さ三丈あまり 苔は滑りて足もたまらず
 谷のそくばく深きこと 数千丈とも覚えたり
 遥かに峰を見上ぐれば 雲より落つる荒滝に
 霧朦朧と闇うして 下は泥梨も白波の
 音は嵐に響きあいて 虚空を渡るがごとくなり

 橋の景色を見渡せば 雲に聳ゆる装いは
 例はば夕陽の雨の後 虹を成せるその形
 また弓を引ける如くにて 神変仏力にあらずして 
 進んで人や渡るべき 
 向かいは文殊の浄土にて 常に笙歌の花降りて
 簫笛 琴箜篌 夕日の雲に聞こゆべき
 目前の奇特あらたなり」

ピンクの部分を全部省略して、
「前略、敬具」と、中をはぶいた。

 〓 〓 〓

tea break・海中百景
photo by 和尚

長唄の歌詞考-6

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「枕獅子」


相生獅子」ではあまりにも“はしょりすぎた”部分を
「枕獅子」では少し増やした。

「牡丹に戯れ獅子の曲
 げに石橋の有様は
 笙歌の花降り 簫笛琴箜篌
 夕日の雲に聞こゆべき
 目前の奇特あらたなり」

これを、
「「牡丹に戯れ獅子の曲
 げに石橋の有様は
 その面わずかにして 苔滑らかに谷深く
 下は泥梨も白波の 音は嵐に響き合い
 笙歌の花降り 簫笛琴箜篌
 夕日の雲に聞こゆべき
 目前の奇特あらたなり」

このようにピンク色の部分を増やした。

 〓 〓 〓

tea break・海中百景
photo bu 和尚

長唄の歌詞考-7

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「英執着獅子」

ちなみに菊之丞の「石橋」をいいとこ取りした
中村富十郎の「英執着獅子」を見てみよう。

「牡丹に戯れ獅子の曲
 げに石橋の有様は
 笙歌の花降り 簫笛琴箜篌
 夕日の雲に聞こゆべき
 目前の奇特あらたなり」

菊之丞2作目の「相生獅子」と同じだ。
このように原曲からの抜粋の仕方が自由自在というのが
狂言作者の面白いところで、多少意味が通じなくても頓着しない
というおおらかさが、江戸庶民の感覚だったのだろうと思う。
 
 〓 〓 〓

tea break・海中百景
photo by 和尚

3月晦日

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ここ2、3日寒いですね。
一時暖かだったからよけい堪えます。

今日で3月も終わり。
今年の桜は早かったですが、例年だったらこれからって感じですよね。

じつは今日は父の祥月命日なのです。

父は2年ほど入院していたのですが、
いよいよ終わりが近づいてきたことを悟っていたのか、
どうしても最後の勤めをしたかったのでしょう。
病院から「春の法要」のために帰宅しました。
檀家さんたちを前に震える声で説教をしたときの姿が忘れられません。

そして「西行さんのように死にたい」ということを言っておりましたが
その年はなかなか桜が咲いてくれないのです。

家の者が風呂場で桜の枝を温め、
通夜の枕辺に供えたことを思いだします。


今年の西園寺のしだれ桜です。




4月

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4月になりましたね。早い!

今「長唄を読む」のリメイクに向けて原稿の最チェックの真っ最中です。
何しろ今度は意訳文を新たに掲載することにしましたので
その原稿にほぼかかりきり状態です。

先日巻の1を編集者に渡してほっとしたところです。

まだ2巻と3巻が残っています。
締め切りっぽいものもあるし、日夜原稿お宅です。



       ドラちゃーん!
       





荻江

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きょうは冷たい雨の一日でしたね。
でも春は雨が多くないと植物が育たないのですよ。
人間はがまんですね。

夕方から荻江の下浚いがあり、浅草検番まで行ってきました。

いい時間に終わりましたので、きょうは荻江のメンバー4人で
広小路の「さくらい」でゴハン食べをしました。

もう何十年も一緒に仕事をしているのに
こういう機会は初めてです。

みんな飲みますので楽しかったですよ。
食事をする、というのは打ち解けるの最適ですね。

荻江の親分寿々氏。
         

祥月命日

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きょうも寒かったですね。

きょうは私の東京の父、水野蔵左衛門氏の祥月命日です。

自分は死なない、といっていた4月1日生まれの
超ユニークな不良老人でしたが、
やはり人並みに逝ってしまいました。

これからはどんどん友人を亡くしていくのでしょうね。
そうして寂しくなったころ、自分の番がくるのでしょう。

これは亡くなる前年の暮れに撮った、
最後の2ショットです。

        
      


今日の夕食

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おいしいヒラメが手に入ったので
きょうはカルパッチョにしてみました。

香辛料のイタリアンハーブミックスをソースに入れたら、
とてもgoodでした。
キュウリのピクルスもデザートビネガーを使ったら、これまたgood!



このあとはタラとエビときのこのソテーを
ベシャメルソースでちょっと煮込んで。

あとは、ちりめんじゃこのパスタとサラダでした。

痛飲…

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きょうは40年来の友人と、水野氏を偲んで食事をしました。
話に花が咲き、二人でワイン2本飲んじゃいました。
何しろわたしが一番気を許せる友人です。

そのあと、BARに流れて乾杯!
さすがに飲み過ぎで、家にたどり着きバタンキューです…


お弟子さんが持って来てくれました。
可愛いですね。
         

儀式

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きょうたまたまテレビで今上天皇と、美智子皇后のご成婚パレードを見た。

昭和34年4月10日のことだから、もう54年も前の映像だ。
しかしデジタルリマスターとかいう新技術でセピア化していた映像が鮮やかに蘇って
まるで昨日のことのようにリアルな印象を受けた。

皇居から渋谷の東宮仮御所までの馬車のパレードは沿道の風景が
「3丁目の夕日」っぽくいかにも戦後復興途中という感じで懐かしかった。

馬車のパレードは英国に倣ったそうだが、儀式の重みに感動!
古式姿でご成婚の儀を終えられたお二人が、昭和天皇皇后両陛下に対面なさる
朝見の儀、という儀式も見ていて涙がでてしまった。

今は儀式というものがどんどん簡略化されているけれど、
やはり儀式はきっちりやるべきだ。
儀式には日本人のアイデンティティが生きている。



お弟子さん家の庭に咲いたクリスマスローズです。

愛ちゃん

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きょうは浅草公会堂で舞踊会があり、
荻江の定番「鐘の岬」を一番弾いてきました。

この曲はお琴が入るのですが、きょうは米川敏子先生の愛弟子、
愛ちゃんでした。

芸名は吉田敏乃さん。
お笛の中川善雄さんのお嬢さんです。
可愛いですよね。楽屋でパチり。

     

帰り道スカイツリーが真ん前に見えて、さすが浅草です。
  

新学期

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きょうは爽やかないいお天気ですね。

明日から大阪芸術大学の新年度授業が始まります。
2、3月と休みでしたので、久しぶりの大阪です。

昨年1年で今時学生気質にはずいぶんと慣れましたので、
今年度はちょっと工夫してやろうと思っています。

最初が肝心ですからガチでいきますよ。

   いくぞー!
   

大阪芸術大学

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今年度最初の授業、行ってきました。
今年は一コマ増えて、4クラスです。

男の子の数が圧倒的に多くて、ちょっとびっくり。

去年の経験をふまえて作戦を練ったのですが、
とりあえず大成功、手応えは十分です。

人というのは学習する動物で、大学講師という技も学習です。

2年目の子もいたりして、これから楽しみです。



坂出に帰ると、稽古場に鎧が飾られていました。
        

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ついに和尚の畑を手伝うはめになりました。

芝や庭木で忙しいので畑には手を出すまいと思っていたのですが、
あまりの雑草の多さについ見かねて…

    

ふさふさ繁っているのは全部雑草です。
ネギのように見えるのがタマネギの芽です。

向うの畑もタマネギなのですが、何が何やら分からない状態!
これじゃ育ちませんよね。

2、3日かけてきれいにします。

坂出パソコン

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きょうはこちらは冬です。寒い寒い。

坂出のパソコンがついにだめです。

セキュリティーが切れたので新しく入れようと思ったのですが
バージョンが足りなくて、どのソフトもインストール不能。

もう8年も使っていますので、寿命といえば寿命なのですが残念!
しかし、セキュリティーが命ですので仕方がないですね。

今度はAir Macですかね。
    








草抜き

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和尚の畑の草抜き、とりあえずこんなにきれいになりました。

      

奥に見えるのはネギです。
もう育ちすぎでネギ坊主がついています。

タマネギはもう一列ありますので、まだ時間がかかります。

畑も手入れが大変ですから、
手間を楽しむというのが趣味の畑仕事の醍醐味でしょう。

それじゃなければ買った方が安い、ということになりますからね。

地震

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朝早く携帯の不気味な音で目が覚めました。
直後に揺れ始め、けっこう揺れました。
今回地震警報は的を得てました。

東京では地震に馴れていますが、
坂出でこんな地震が来るとは思ってもいませんでしたので
びっくり!

どうしようかと思っているうちに治まりました、ほっ。

テレビをつけたら震源地は淡路島。
いやあ、地震は日本中どこに逃げてもだめですね。


これキリンビールの提灯です。
可愛いですよね、坂出で発見!
   
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