「石橋」−2
寂昭法師の名乗りのあと、石橋を守る樵夫(きこり・実は獅子の化身)が登場する。
『松風の 花を薪に吹き添えて
雪をも運ぶ 山路かな
樵歌牧笛の声
人間万事さまざまに
世を渡り行く業ながら
あまりに山を 遠く来て
雲また後をたち隔て
入りつる方も白波浪の
谷の川音雨とのみ
聞こえて 松の風もなし
実に過って 半日の客たりしも
今身のうえに 知られつつ
褄木背負うて 斧かたげ
岩根烈しきそば伝い
小笹を分けて 歩み来る』
(意訳)
松風が運ぶ桜の花びらが
背負った薪に積もり
まるで雪を運んでいるようだ
来た道さえも分からないような
雲深い深山幽谷
聞こえるのは谷の川音ばかり
昔、山で女に会い
ほんの半日ばかり楽しんで
家に帰ると 7代も先の時代になっていた
という話があったが、ここはまさにそのような山奥だ。
背なに薪を背負い、斧を手に険しい山道の小笹を踏み分け
樵夫がやってきた。
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寂昭法師の名乗りのあと、石橋を守る樵夫(きこり・実は獅子の化身)が登場する。
『松風の 花を薪に吹き添えて
雪をも運ぶ 山路かな
樵歌牧笛の声
人間万事さまざまに
世を渡り行く業ながら
あまりに山を 遠く来て
雲また後をたち隔て
入りつる方も白波浪の
谷の川音雨とのみ
聞こえて 松の風もなし
実に過って 半日の客たりしも
今身のうえに 知られつつ
褄木背負うて 斧かたげ
岩根烈しきそば伝い
小笹を分けて 歩み来る』
(意訳)
松風が運ぶ桜の花びらが
背負った薪に積もり
まるで雪を運んでいるようだ
来た道さえも分からないような
雲深い深山幽谷
聞こえるのは谷の川音ばかり
昔、山で女に会い
ほんの半日ばかり楽しんで
家に帰ると 7代も先の時代になっていた
という話があったが、ここはまさにそのような山奥だ。
背なに薪を背負い、斧を手に険しい山道の小笹を踏み分け
樵夫がやってきた。
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