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Channel: 西園寺由利の長唄って何だ!
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十六利勘その9

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歌川国芳(寛政9~文久元・1798~1861年)の浮世絵
「妙でんす 十六利勘」(弘化2・1845年)をもう一つ。
タイトルは「降那損者(ふるなそんじゃ)」
    

ふる(降る・振る・古)もの尽くしのような書き入れで、
ことばの意味が分からないところがいくつかある。

「ふるなそんじゃは ものごとをよけたもうように 夫うけを指たもう
 そもそも ふるということに とくな(得)ことはまれなり
 十日め十日めに ふるあめは かくべつ 
 それも つづいてふりすぎれば あしだ(高下駄)の はいれ(歯入れ・下駄の歯の入れ替え)の
 からかさの はりかえの こそん(小損?)があり
 にわかあめには かりぎをぬらし 又は からかさを かりられたり
 たびのあめには 川どめをくい 
 あゝ ふったるゆきかな ゆきは がもう(白いものや軽いものの例え)ににて とんでさんらん(散乱)
 ゆきみに ころぶ所までなぞと ふうが(風雅)なようでも さむくてたまらず
 いぬは おばさまといって よろこべども ねこは いやがる
 さいみょうじどのが あとへも さきへも まいりがたしと 大みそかの せりふのようにいわれしも もっとも
 ふる(降る)うちわ よけれども あとがぬかって いけず
 ぼうふりむし(ボウフラ)は か(蚊)になって 人にきらわれ
 尾をふってくる かいいぬにも 手をくわるることあり
 かぶり(頭)をふれば そうだんができず
 大手をふって あるけば 人ににくまれ
 とっくり(徳利)をふれば あとが のみたし
 ふってわいた事に ろくなことはなく
 ひなわ(火縄)をふれば やみとなり
 ちょうちんをふれば 花火は しまい
 あたまをふれば ずつうがする
 やっこをふれば いとめがまがる
 りん(鈴)をふるようになっては つまらず
 うちわをふれば しょうぶなしになる
 しりふりを おどれば ほころびをきらし
 ふるぎをかえば はやく わるくなり
 ふるふんどしは しめられず
 ひれふる(領巾振る)山は 石になるし
 しょくわいにふれば それっきり
 そこで ふるなそんじゃと おしえたもう」 
 

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