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Channel: 西園寺由利の長唄って何だ!
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勧進帳−4

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勧進帳−4

「実に実にこれも 心得たり
 人の情けの 盃を
 受けて心を留むとかや
 今は昔の語り草
 あら恥ずかしの 我が心
 一度まみえし 女さえ
 迷いの道の 関越えて
 今またここに越えかぬる」

そして次は、このくだり一番の聞かせどころ。
六三郎はここに、古浄瑠璃の半太夫節を持って来た。

「ハァオー」という三味線の掛声に続き、

「人目の関のやるせなや
 ああ 悟られぬこそ 浮き世なれ」

ここはかなり高音で節が付いているが、
それは初演当初(天保11・1840年)、
美声で高音が立つ岡安喜代八の声に合わせて節を付けたからだ。 

弁慶の富樫に対する胸中を察する客は、この一節で感極まり、涙する。

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tea break・海中百景
photo by 和尚


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